ハーグ(HARG)療法は薄毛を根本原因から解決する毛髪再生医療です。毛髪再生因子を直接頭皮に注入することで、毛髪再生のスイッチを入れ、自己毛髪の再生を促します。注入する薬剤は、人間のあらゆる細胞の元となる幹細胞から抽出したタンパク質であり、150種類以上もの成長因子を含みます。薄毛の 原因を問わず、自分の髪を生やすことのでき可能性があります。
ハーグ療法のネーミングは、日本医療毛髪再生研究会(Japan Hair Re-Generative Medical Association)に由来しています。日本毛髪再生研究会は、毛髪再生医療の促進を目的として2008年1月に発足し、毛髪の再生に対して、研究を行ってきました。頭皮に成長因子を注射し、毛髪再生を促す治療法が見つかり、研究会の英語名Hair Re-Generativeの頭文字を取り、HARG(ハーグ)療法と名付けられ、強力な毛髪治療として知られるようになりました。
薄毛は、毛を作り出すもとになる毛母細胞の機能が低下することにより、髪の成長・退行・休止のサイクル(毛周期)が滞り、成長が阻害されることで引き起こされます。
HARG療法(ハーグ療法)は、毛母細胞に直接働きかけることで成長のスイッチを入れる再生医療です。一定期間の治療が終了して発毛効果が見られた後は、頭皮が若い状態になり、毛周期が正常化した状態であるため、持続的な効果を発揮します。
ハーグ療法の薬液には、150種類以上の成長因子を含んでいます。主な成長因子は次のとおりです。成長因子は毛母細胞に働きかけて、毛根や毛包を成長させることにより、毛髪の再生を促します。
ハーグ療法の効果は、多くの基礎実験、動物実験で確認されています。
写真は、毛髪休止期の実験用のマウスに、ハーグ療法を行い、毛髪の再生を観察した顕微鏡写真です。コントロール群(未治療群)では、毛包の出現は認められませんが、ハーグ療法群では、毛包の出現、毛髪の再生が認められています。毛髪休止期において、ハーグ療法に効果があることを示しています。
臨床的に使用する前に、人に対してハーグ療法が効果を示すか否かを、臨床試験により検証しています。
写真は、ハーグ療法の臨床試験を行った人の頭皮の写真です。ハーグ療法により、一つの毛穴から出る毛髪の本数が増えていること、個々の毛髪が太くなっていることが分かります。この写真によりハーグ療法の効果が実際の人においても証明されたことが分かります。
薄毛治療薬のミノキシジルやプロペシア(フィナステリド)は、体毛が増加する、胎児に異常をきたすなどの理由で、女性の使用が認められていません。これに対しハーグ療法は、女性に対しても使用可能で、重大な副作用は、認められておりません。注入後、頭皮の発赤や痒み、痛み、細菌感染を伴うことがあります。医師の指示を守って頭皮の安静を保っていただきたく思います。
極細針によるハーグ療法
注射針により、毛髪再生因子を頭皮に直接注入するハーグ療法です。薬液注射には、極細の注射針を使い出来るだけ痛みを軽減するように治療していますが、多少の痛みを伴います。医師により注入技術の差が認められます。
極細針によるハーグ療法
頭皮に薬液を塗布して、ダーマローラーを転がすことにより、薬液を頭皮に沁み込ませるハーグ療法です。痛みは軽いものの、薬液の浸透量に限界があり、薬液のロスが多いことが知られています。
MED-JETによるハーグ療法
高圧二酸化炭素により、薬液を皮膚に注入するハーグ療法です。MED-JETという装置を使います。
MED-JETは引き金を引くと、設定した量の薬液が噴出されるように設計されています。
蚊の針が0.06mmであるのに対して、MED-JETは、0.03mmの小孔から薬液を注射します。薬液が入るときに鈍い衝撃がありますが、針を刺したような痛みを感じることはありません。
MED-JETを直接頭皮に当てて、薬液を噴出します。手軽で医師による注入のばらつきがありません。短時間で注入することが出来ます。薬液の注入時に、押されたような鈍い感覚を感じます。
HARG療法
45歳 男性。ハーグ療法、HARG療法
症例経過:父方が薄毛家系であり、日ごろから髪の健康には気をつけて過ごしていたという症例です。40歳代に入り抜け毛が急激に増えてしまいました。周囲の何も手入れもせず、手遅れになった人を見ていたため、このままでは自分も同じ経過を取ると危機感を抱き、仙台中央クリニックにご相談いただきました。診察したところ、前頭の生え際は後退し、頭頂には円形の薄毛領域が広がっていました。頭皮は硬くなり地肌の露出が目立っていました。以上より男性型薄毛症と診断しました。幸い、完全に毛髪が脱落しているわけでは無く、産毛の存在が確認できたためハーグ療法の対象と判断し治療を開始しました。ハーグ療法3回目から抜け毛が止まり、細く弱っていた毛髪が太く育ち密度が増しました。治療4回目以後、地肌の露出が目立たなくなっていきました。自毛の再生が確認でき、増毛が認められたため、喜んでいただけたようです。
症例解説:薄毛症にならないために、日ごろから毛髪の手入れが重要です。しかし、男性薄毛症には、遺伝的な要素が影響しているため、手入れをしていても薄毛症が進行する場合もあります。ハーグ療法は、年齢性別を問わずに自己毛髪再生効果が期待できる治療法で、男性の薄毛症やAGAに対する治療に用いられています。1か月に1回程度頭皮注射を行うことにより、自己毛髪の生育が得られます。ハーグ療法のデメリットとして、頭皮に注射する関係上、痛みを伴います。また数日間、頭皮が赤く腫れることがあります。医師の指示を守ってお過ごしいただく必要があります。